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充実 家庭も仕事も大切に

 

今回ご紹介する 貝和(旧姓:米山)明希(かいわ<よねやま>あき、37期・化学)さんは、理工学部から大学院理工学研究科に進学され、企業の理系現場に就職されました。そして、現在子育てとフルタイム勤務で奮闘中です。所属企業にご理解をいただき、お仕事中にお話をうかがいました。

家庭人として ― 育児に奮闘中 ―

― 勤務時間中にお時間を頂戴し、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。ご家族の体調は回復されましたか。

貝和 ご心配をおかけしました。子どもが風邪をこじらせてしばらく発熱が続いておりました。熱があっても元気で動きまわっていたのですが、夫も感染したらしく発熱し、私も発熱はしませんでしたが、少し体調を崩しました。

コロナ(新型コロナウイルス感染症)禍での発熱でしたので、夫は PCR 検査して受診し、子供は小児科で診ていただきました。いつもは保育園に行くのですが、お休みしておりました。お薬をいただき今は回復しております。

― 先般、待機児童の問題がございましたが、お子さんは保育園に困難なく入園できましたか。

貝和 私の地域では、保育園は選ばなければ入れます。ただ、勤務先に近いなどの条件に合うところには空きがなく、随時募集ですが10月に申し込んで、入れ替わりの時期の4月にやっと入園できました。

― 育児休暇などは取られましたか。

貝和 1年半取りました。1歳までは手元で育てようと思っていました。その後は2時間の時間短縮勤務を経て、今は元通りフルタイムで働いています。別の会社に勤めている夫も育休を取りました。私は、しばらく仕事を休んで復帰したとき、ペースがつかめず苦労しました。

― 理解のある会社…と言ってはいけませんね。育休取得は当然でしょうから。

貝和 古くからの会社ですが、先輩の方(男性社員)が子育てに関与する道を拓いたこと、上司の部長(後に同席)も一生懸命育児をしておられたこともあり、育休をしっかり取れました。

― もう少し、ご家庭のこと教えてください。

貝和 夫は平日には私より帰宅が遅いので、私が主に食事の準備などの家事をします。料理は私より上手で、土・休日にはまかせているので、すごく助かります。

子どもの保育園の送り迎えは、私が雨の日以外は自転車でします。子どもは雨具が嫌いなので雨の日は自動車ですが、渋滞など時間がよめず困ります。私は、通勤も自転車です。入園当初は、自由遊びで服をドロドロにしてくるので、洗濯が大変でした。

企業人として ― 提案開発も ―

― お仕事について紹介をお願いいたします。

貝和 東京ペイント株式会社技術部に所属しています。当社は、工業用塗料メーカーとして自動車・車両・家電・重電・エレクトロニクス部門・通信工学・精密・事務機器・医療機器用塗料などの製造および販売をしており、私は、粉体塗料の製造・開発・検査に従事しています。

― 粉体塗料はどのようなところに使われているのでしょうか。液体塗料は水性ペイントなど何となくわかるのですが、

貝和 粉体塗料は配電盤やロッカーの塗装(ベージュやグレーなど)に静電塗装として用いられています。液体塗料は自動車関連の塗装に多く用いられています。

― 自動車関連は景気がよく、業界リーディングカンパニーは多くの利益を出していますね。

貝和 そのようですが、当社は最悪のときより少し回復したかなという程度です。トップメーカーとも取引がありますが、協力会社ではないので、他からも注文をいただいております。


社内にて

― かなり無理な注文をする大手の会社もあるようですが。

貝和 私の部門(粉体)では自動車関連は少ないです。依頼に対して、社内でも調整を尽くして、できないものはお断りします。注文に応じられずに残念だという場合もありますが、どうしても段取りできないものは無理を通しません。

― コロナ禍で影響はありましたか。

貝和 私の仕事はリモートではできないので、通常勤務をしていました。仕事が少ないときは、新しいことを考える時間が取れました。

― 新しい塗料開発もされているのですか。

貝和 発注先があっての仕事なので、普段はそれに追われてあまり多くはありませんが、提案開発もしています。社外に出ることはほとんどありませんが、新規開発品の説明に行くことはあります。


社内にて

在学時代のこと ― 星友祭実行委員として活躍 ―

― 客先での説明のとき、大学、特に大学院時代の学会発表などの経験が生きていますか。

貝和 あがり症なので、学会で発表したときは夢中でそのことはほとんど記憶していません。ただ、発表にむけてすごく準備したことを覚えています。実験機器が共用だったので、時間配分が大変でした。ただ、私は近くに下宿していたので、帰りの電車を心配しなくてすみました。

― 在学中のことを少しうかがいたいと思います。

貝和 3年生まで星友祭実行委員でした。当時は十数人しかいなくて、小部屋(2号館106)で活動していたのですが、準備で、特に夏休み以降は忙しくなって成績が下がるので、続ける人があまりいませんでした。

講義のことはかなり前のことであまり記憶がありません。強い個性をお持ちの先生は覚えていますが…。

― それでも大学院まで進学されたのはなぜですか。

貝和 手を動かすことが好きなので、実験できる化学が合っていました。それで、就職して社会に出ると、こういうことはあまりできなくなるのではと思い、もう少し続けたいという気持ちがありました。

その他、私は就職氷河期世代(2000年前後に大学を卒業した世代でロストジェネレーションとも呼ばれる、ウィキペディアより)で、求職状況が厳しかったことや友人も進学するということも動機です。

― 大学入学前は、あまり化学に関心ははなかったのですか。

貝和 高校時代に化学の筆記試験だけはトップクラスでした。ただ、化学以外の成績は全く振るいませんでした。理系の教職を目指していたのですが、進学相談のときに「この成績では○○大学も入れないぞ」と言われ、“それならここに入学してやる”と奮起し○○大学 = 明星大学を一般受験しました。

― それで合格、先生の発言が結果的によかったのですね。同じ言葉でも、人を奮い立たせるか、くじけさせるか難しいです。

再び企業人として ― 現場作業は調理(ケーキ作り)と同じ ―

― ところで、先ほど、就職する(社会人となる)と手を動かすことができなくなると危惧しておられましたが、今現場ではいかがですか。

貝和 勤務時間の拘束はありますが、大学の研究室の延長のようです。

具体的にはどういうことか教えてください。

貝和 製品の納期に合わせて自分で時間配分して、作業工程を考えて仕事をするところです。私は幼いころから手作業、ビーズ作りや調理が好きでした。会社での仕事は、薬品(材料)を秤量し(はかり)、手順通り混ぜて、決められた温度で焼く、そして検品(試食)、つまりケーキを作る工程と同じです。

上司の眼 ― 期待される技術部の☆ ―

以降上司の技術部部長、柳生征宏(やぎゅうまさひろ、25期・化学、明星大学卒業後、明星大学大学院理工学研究科修士課程に進学し1994年3月修了)さん同席

― お忙しいところ恐れ入ります。よろしくお願いいたします。先輩として、また上司として貝和さんについてお話しいただきたいと思います。

柳生 今では立場上技術部全体を見ていますが、私は元々粉体を担当していました。貝和は十分知識もあり、もうまかせています。

貝和 まだまだ、今でも頼りにしています。

― 貝和さんは、現場としては初採用の女性社員で、それまで更衣室などの設備も十分でなかったとうかがいました。今では、出産休暇・育児休暇なども充実しているようですね。

柳生 そうですね、当社も手探りでした。有給休暇も含めて制度を整えてきました。貝和については、新卒入社の当初、体力的に大丈夫かなという懸念はありました。勤務時間終了近くなると、明らかにパワー不足になっていました。しかし今ではそんなこともなくなりました。

今後は、是非後輩の指導もしてほしいと思っています。すでにその力は十分あります。残念ながら、なかなか新人が入社してくれないのですが。古くからの会社なのでこれまで苦労もしたと思いますが、その経験を生かしてもらいたいです。

― 本日は勤務時間中に時間を割いていただきありがとうございました。柳生部長にも同席いただき感謝いたします。

ご家族の皆様のご健康、御社のご発展をお祈り申し上げます。

 

2023.2.6

貝和(旧姓:米山)明希(かいわ<よねやま>あき、37期・化学、
2006年3月理工学研究科化学専攻修士課程修了)

東京ペイント株式会社
技術部

 

 

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