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SATOYAMAの魅力を伝えたい


今回は、デザイン学部デザイン学科を2024年3月に卒業された植村遼太郎さんにご登場いただきます。
幼少期から絵を描くことが好きで、明星大学の自然環境に魅力を感じていた植村さんは、学内の自然とクロッシングをテーマにした「明星SATOYAMAプロジェクト2022→2025」に発足当初から参加。自然を活用した様々な活動に取り組み、プロジェクトのロゴマークやリーフレットのデザインも担当しました。
明星デザインの魅力、プロジェクトの活動や絵本「さとやまさささ」制作のお話を伺いました。

 

社会とつながる明星デザイン

―現在のお仕事について教えてください。

群馬県内にあるマルキンアド株式会社で、Webデザイナーとして、キャンペーンバナーの制作や企業のコーポレートのサイトの制作、サイトの更新作業などを行っています。

仕事をはじめて2年目なので、今はまだ先輩のデザインを踏襲して他のものに展開していく仕事が多いですが、近々自分がメインでデザインする案件も始まりそうです。また、動画制作(15秒の商品紹介)やグラフィック(チラシなどの印刷媒体)も時折行うことがあります。

―明星大学デザイン学部に進学された経緯を
お聞かせください。

幼少期から絵を描くことが好きで、中学までは絵画教室に通い、高校では美術部で油絵を描いていました。美術系の大学を志望していたのですが、進路を決定する時期と自分の絵に対する自信が無くなった時期が重なり、美大受験を止めてしまいました。色彩心理学を学ぼうと心理学部の一般受験に切り替えたのですが、高3の秋に明星大学のデザイン学部を知って心が動きました。
塾にも親にも「心理学部へ行く」と宣言していたので、他大学は心理学部を受験し、明星大学だけデザイン学部を受けました。明星デザインは実技試験がなかったので、しばらく絵から離れていた自分にも受験可能で、まさに運命的な出会いでした。

 

―明星デザインの良さを教えてください。

デザインの本質を学べるところがいい。社会の問題を発見・解決し、新たな価値をつくり出す「デザイン力」が身につきました。明星のデザイン力とは「企画力」と「表現力」を総合的に働かせる力のこと。「企画×表現」を4年間かけて繰り返し学ぶことで「社会とつながるデザイン」を実践する力が獲得できました。必ずしも形あるものだけに限らず、幅広いことを実践的に深く学べて吸収できるのが面白い部分であり、明星デザインならではのいいところだと思います。

―「明星SATOYAMAプロジェクト」に参加されたのは3年生の頃ですか?

2年生の秋(2019年9月)に先生方、職員の方々が集うプロジェクト立ち上げミーティングに参加したのが最初です。もともと自然が好きで、以前から明星大学の豊かな環境に心地よさを感じていましたので、豊富な緑地や生態系などをテーマとしているこのプロジェクトに興味をもちました。プロジェクトの発足段階でしたので、参加するデザイン学部生には、プロジェクトを周知するロゴマークやリーフレットの作成が求められており、授業外のデザイン実践に参加することで、自分の力を養えるのではないかと考えました。

*多摩地区でも有数の里山を有する日野キャンパスの自然環境・資源・歴史に注目し、学びと地域連携に活かすプロジェクト。里山の魅力と可能性について、2022年から2025年にかけて、学部横断で取り組みが行われました。

自分の「興味・関心に基づくプロジェクト」で自分の「学び」も活かす。 この二つの動機が重なり、参加することを決めました。いろいろな学部の人との横のつながりもできて面白かったです。

自然の魅力を「自然」に伝える

―プロジェクトマークやリーフレットの作成はいかがでしたか?

2022年3月に、制作者7人で計9案を提案したものの、いずれも採用されませんでした。続いて第二弾として練り直したロゴ案を制作者4人、計10案を提出したものの、またしても再考を促されました。そこで3か月ほどプロジェクトの活動**に専念し、プロジェクトの特徴を捉えたうえで9月に三度目のロゴ案を提出。先生方からのご指導を受けてさらなるブラッシュアップを施し、ようやく全員が納得する形でプロジェクトのロゴマークが完成しました。

**本プロジェクトでは学生主体の活動も積極的に実施されました。
例:けものみち探検隊/学内の緑地散策/ホタル池散策 ほか

プロジェクトリーフレットは2022年8月頃から制作を開始。 私を含め4人体制で制作にあたりました。載せるべき内容やサイズ、折り方の検討を行い、作業内容を割り振ってイラストや図表、レイアウト等のデザインを経て、最終的には先生立ち合いのもとオンラインで印刷入稿しました。 10月末に完成したリーフレットは星友祭で配布を開始し、以後、 色々な場所で配っています。

―絵本「さとやまさささ」は卒業制作ですね?

明星大学が持つ豊富な自然の魅力を紹介し、里山の自然の素晴らしさも伝えたいと願って、この本を制作しました。自分が今まで大学に通って「いいな」と思った風景やSATOYAMAプロジェクトで活動している様子、大学の中を歩いて出会ったものをメインで入れて描いています。 想定した読者は4・5歳ですが、大人が見ても楽しめるようなものを目指しました。

本間由佳先生(デザイン学部デザイン学科准教授)に、絵本制作に入る前段階の自然環境に関する調査分析や絵本についての研究調査からお世話になりました。そもそも「絵本にしてみたら?」と勧めてくれたのも本間先生です。環境に関する絵本は、わりと教え込ませるものが多いけれど、「自然の魅力を自然に伝えたら面白いね」と。説教臭くない自然な伝え方や、絵本のサイズ感・カバーの紙など細かい部分に至るまでアドバイスを受けました。

―絵本の奥付には本間先生以外のお名前もありますね。

柳川亜季先生(理工学部総合理工学科環境科学系准教授)の研究から「学内に生息する動植物のデータ」をお借りし、実際にどんな生き物がいるのかを探りました。夏には、「撒き出し」と呼ばれる調査法を教えてもらい、植物の成長過程を観察しました。先生が学内に設置している夜間用カメラに映る動物の写真も絵の参考にしました。

また、同窓会の青木秀雄前会長***にも柳川先生の発案で、明星大学開学当初の様子をインタビューしました。噴水の横でフォークダンスをしたという青木会長の「自分は本当は内気だったけれど、勇気を持ってクラスの人に声かけた」というエピソードを、春の噴水のシーンに反映させています。あえて時代は現在のままにして、踊りの場面ではなく仲間が集う様子を描き、「あたらしいなかま、あたらしいじぶん、わかくさ色がゆうきをくれた」と文章で表現しました。

***青木秀雄前会長からのメッセージ
SATOYAMAプロジェクトがスタートした際、同窓会会長(当時)として協力したいと考えました。植村さんから『ささやまさささ』制作協力のご相談をいただき、開学間もない頃のキャンパス、自然環境の様子などをお話ししました。また今も残る1号館と噴水、富士山の景観などとともに、その頃の懐かしい思い出も併せてお伝えしました。

「昆虫」と「教育」のスペシャリストである和田薫先生(理工学部客員教授)には、私物の昆虫の絵本を見せてもらい、描く際の助言や遊び心を持って制作に当たる大切さを教わりました。
いろいろな方に支えられてできた絵本です。

―絵にも文にもこだわった絵本を1年間でつくるのは大変でしたね。

1年間といっても、夏までは就活がメインでしたので、実際の制作は夏以降になりました。秋から、絵に集中しましたが、描きやすいところと描きにくいところがあったので、結局、全部の絵を描き終わるまでに年明けまでかかってしまいました。絵を描きつつ、文章の方も少しずつ考えながら進めていましたが、最終的な印刷物が自分の手元に届いたのは1月の末。卒業研究展の締め切りぎりぎりまでかかった感じですね。

―特にこだわった点はどこですか?

夜の様子、脱皮のシーンなど、生命の営みの表現にこだわりました。本のカバーはあえてシンプルにし、カバーを外すと、いろんな動植物が一気にワッと出てくる作りにしています。里山は一見静かに見えるけれど、実はこんなに豊かな生き物がいることを表現するために、「外側と中側で遊んでみたら楽しいのでは?」という本間先生のアドバイスが非常に参考になりました。

里山に住む生き物が「さささ」って動いて生活している様子、風が吹いて草木が「さささ」って揺れる様子。 そういったものを「さとやまさささ」という題名に込めました。

―明星での4年間はいかがでしたか?

さまざまな人と協働し、正解のない問題と向き合う中で、課題を見つけ、解決に取り組んだ4年間でした。コロナ禍でコミュニケーションが取りづらい時もありましたが、明星大学で素敵な友達に出会うことができて、本当に良かったなと思っています。SATOYAMAプロジェクトでできた横のつながりも学校生活をより豊かにしてくれました。明星デザインで培った、実生活で通用するデザイン力を、これからの仕事に活かしていきたいと考えています。

 

2025年5月16日
Zoomにてインタビュー
マルキンアド株式会社
植村遼太郎(うえむら りょうたろう)
57期 デザイン学部デザイン学科
(2024年卒業)

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