2025.10.25

絆を大切に~成長できる組織をつくるIT社長~

齊藤公平さんは人文学部経済学科(当時)の35期生。大学卒業後、就職氷河期の中で大手商社に入社するも1年弱で退社。その後、ベンチャー企業での経験を経て、キズナプラス株式会社を創業。人を育て、ITを活かして社会に貢献する会社は「多摩地区を代表する企業100選」にも選出されています。
人との絆を大切に、社長として新しいことに挑戦し続ける齊藤さんに、大学時代の 思い出や会社経営の哲学について語っていただきました。

キズナ(絆)とプラス(育成)を大切に

―会社の事業内容からお話しいただけますか?
大手企業やメガバンク、公共団体へのITサービスを提供しています。システム開発、インフラ環境の構築・運用、品質検証サービス、Webデザイン・DTPデザインなどを手掛けています。安定した仕事を受注しつつ、ベンチャー魂を持って新しいことに積極的に挑戦しています。

―「キズナプラス」という社名の由来は何ですか?
社名には「人と企業の絆(キズナ)」と「人材の育成(プラス)」という思いを込めました。IT系は人気がある業界ですが、未経験者やスキルが乏しいエンジニアにとっては厳しい世界です。そこで一人でも多くのエンジニアが活躍できる環境をつくりたいと考えて起業しました。

明星大学で生まれた絆

―明星大学では経済を専攻されました。
高校3年の夏、担任の先生に明星大学の推薦入試を勧められ、センター試験に向けた実践練習のつもりで受験したところ、合格できたのでそのまま進学しました。
将来起業する予感があったため経済学科を選びましたが、必修だった簿記会計など当時の学びは今に生きていると感じます。

‎経済学科では、10人の個性的な仲間と出会いました。その多くは現在、会社経営者や経営層として活躍しています。サラリーマンから起業した人、親から経営を引き継いだ人、組織で出世した人など、立場や考え方はさまざまですが、今も刺激を与え合う関係が続いています。

―長くサッカーを続けられていて、コーチも経験されたそうですね。
小学3年生からサッカークラブに所属し、中学、高校、大学とサッカー漬けの日々でした。
高校時代にはお世話になった小学校のサッカークラブのコーチを始め、起業直前まで約16年間続けました。そこで人を育てる下地ができたと思います。

また、クラブで情報発信や出欠確認、スケジュール管理のために独学でプログラミングの知識を身につけたことが、IT業界を志すきっかけとなりました。

高校最後の試合では運命的な出会いもありました。 対戦相手のひとりが明星大学に進学すると知り、意気投合。大学で親交を深め親友となり、のちに一緒に起業しました。

卒業から起業まで

―卒業後から起業までの道のりを教えてください。
超氷河期世代でしたが、大手商社に入社できました。ただ、地方への異動の話が出て、サッカーのコーチを続けたい思いから1年弱で退職しました。

その後、製造業に人材を派遣する三鷹のベンチャー企業に入社し、IT部門の立ち上げに加わりました。営業としてメーカーの大型プロジェクトに携わった経験から、エンジニア育成ビジネスにチャンスを感じました。技術進化の早い業界だからこそベンチャー企業にも勝機があると確信し、2014年4月、34歳でキズナプラス株式会社を設立。明星大学時代の親友と2人で、マンションの一室からスタートしました。

―現在のオフィスは国分寺駅から歩いて3分。広くて綺麗ですね。
設立10周年の昨年にこちらへ移転しました。2人で始めた会社も50人規模になりました。新卒採用も毎年行っており、今年は3名が入社。教育モデルを整備し、勉強会や研修を頻繁に実施するほか、資格取得応援制度として受験代に加えて高額な報奨金を支給しています。

全従業員にフォローアップの時間を設け、困ったときにすぐ相談できる環境を整えています。離職率が低く、従業員同士の絆の強さが会社の大きな強みです。

―社員を大切にされていますね。国分寺を拠点に選ばれた理由を教えてください。
IT業界というと六本木や渋谷を思い浮かべますが、エンジニアの仕事はネットさえあればどこでも可能です。そのため多摩地区の国分寺が最適だと考えました。新宿から20分と交通の便がよく、メーカーやデータセンターも集積しています。都心への出張対応も容易で、家賃も都心ほど高くなく、ほどよくバランスが取れているのが国分寺です。

―国分寺市の60周年マークのコンテストで受賞もされました。
地域イベントをお手伝いする中でデザイン部門を立ち上げ、国分寺市制60周年記念ロゴマークコンテストで優勝しました。2024年、ちょうど漫才コンビのガクテンソクが「国分寺ネタ」でTHE SECONDのチャンピオンになった時期と重なりました。

国分寺市の職員の方がロゴ付きポロシャツを着用して仕事をしていますし、夜もネオンでこのロゴが光っています。市の印刷物や切手にも使われています。

―「多摩を代表する企業100選」も受賞され、社会貢献にも積極的ですね。
フットサルの1部優勝経験がある立川アスレティックFCとパートナー契約を結び、若手アスリートの支援や引退後のセカンドキャリアのサポートもしています。

ソサイチで日本一を目指すSala de baile FCとのスポンサー契約のほか、開発途上国の子どもたちにワクチンを届ける寄付活動に参加し、エコキャップの収集拠点も担っています。今後も企業の社会的責任を認識し、地域奉仕活動にも力を入れていきたいと考えています。

経営者としての思いと明星大学のネットワーク

―社長としての抱負や思いをお聞かせください。
社長になり、見える景色が変わりました。ベトナムのIT企業の訪問や、福井でのプレゼンコンテストでの優勝など、サラリーマンでは得られない経験を数多くできました。

紆余曲折はありましたが、10年間赤字は一度もありません。役員報酬も設立初期からあまり変更しておりませんし、コロナの流行が始まるタイミングでは会社を守るために、下げました。まずは従業員とその家族を大切にしたいと思っています。

これからも「絆を大切に教育に力を入れる会社」として、意欲のある方を採用し育てていきたい。ITを活かした社会貢献を目指し、社員の幸福と成長を願っています。社員一人ひとりの個性を尊重し、失敗を恐れず挑戦する姿勢を大切にしたい。仕事を通じて成長し続けることが、より良い未来につながると信じています。

―最後に同窓会活動についてのお考えをお聞かせください。
現在、明星大学で経営者ネットワークの立ち上げに関わっています。同窓生同士でビジネスを回し、次世代を育成する仕組みをWeb上に構築する準備を進めています。業種や地域ごとに検索し、経営者や会社情報を一覧できるようにする予定です。

経済学科で出会った10人の仲間は今でも大切な絆です。その出会いがあったからこそ今の自分があります。特に一緒に起業した親友と出会えたのは明星大学のおかげです。

‎皆さんも大学時代の出会いを大切にし、将来に活かしてください。挑戦するときは、周囲の支えを大切にしながら、自分の信じる道を進んでください。

私も明星大学の同窓生として、これからも社会に貢献できるよう頑張っていきます。

2025年8月18日
キズナプラス株式会社にてインタビュー
代表取締役 齊藤公平(さいとう こうへい) 35期 人文学部経済学科(2002年卒業)

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