明星会からのおしらせ

故郷の土と明星の御縁が育ててくれる

明星大学を2005年に卒業し、新潟の山奥で陶芸作品を制作している栗山像心(ぞうしん)(本名 栗山貴之)と申します。像心という名前を聞くと、少々驚かれるかもしれませんが、像心は「陶号」という制作発表上の芸名の様なものですので、どうかお付き合い下さい。

「陶芸の明星」と言えるほど多くの卒業生が活躍している陶芸の世界

多くの卒業生を輩出する明星大学の中でも、陶芸家・作陶家という職に就いている人は珍しいと思われるかもしれません。しかし、実際は、「教育の明星」というキャッチコピーに次いで「陶芸の明星」や「美術の明星」と命名しても良いのではないかと思う程、明星には陶芸家や美術家として活躍する卒業生が多いのですがご存知ですか?

かくいう私も青梅キャンパスの10期生で、現在、「越後焼 妙高赤倉窯の栗山像心」という肩書で作品を発表しています。在学中は日本文化学部造形芸術学科の陶芸専攻で、故高橋紘先生や同専攻で教鞭を執られていた鈴木寿一先生から様々な技術を学びました。

そして、卒業後に実家の敷地の中に作品を焼く「窯」を築き、作陶家として独り立ちしました。以来、故郷の新潟の土を用いて制作し、各地の百貨店を中心に個展活動を展開しています。

あべのハルカスにて

美味しい米には欠かせない新潟の土をもっと知って欲しい!

故郷、新潟の土を用いて、と書きましたが、「新潟って焼き物が有名なの?」「そんな所で何故活動を…?」と疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。日本で焼き物と言えば、岡山県の備前焼や愛知県の瀬戸焼といった多くの伝統産地がありますが、新潟の場合、焼き物の産地としてはあまり知られていません。

そもそも新潟で築窯(ちくよう)することにした理由は、大学在学中の衝撃的な経験がもとになっています。その経験とは、陶芸専攻で3・4年生が参加する陶芸合宿での出来事です。焼き物に適した粘土を掘らせていただき、その土地に暮らす方々と交流するという活動内容だったのですが、その訪問先が新潟県旧湯之谷村だったのです。

3・4年生ともなれば全国の焼き物名産地の知識も付いてきますが、まさか故郷の新潟県。しかも、湯之谷村の土は焼き物の粘土としては全く聞いたことが無かったので大変驚きました。合宿内容は、魚沼コシヒカリの田んぼの粘土を収穫し、お米の藁(わら)を釉薬(ゆうやく・うわぐすり)に用いて焼き上げ、完成した作品は新米収穫の季節に、ホームステイをさせていただいた御礼として贈呈するという長期的な活動内容です。

おいしい米の源となる土や水を中心に、日頃はなかなか交流することのない農家の方々を巻き込んだ大変貴重な体験でした。後で知ったのですが、故高橋先生と湯之谷村には御縁があったのだそうです。

妻は地元の土の魅力と物作りの楽しさを感じることができる体験工房を主宰しています

陶芸家として正式にデビューする前に、故郷の土で焼き上げた自分の作品が寄贈先に喜ばれ、そして使ってもらう喜びを体験することは、なかなかできるものではありません。同時に伝統産地ではなくても、地道に探せば焼き物に適した粘土を採取出来ることを知り、今は窯場のある新潟県妙高市と近隣の市から採取した土を用いて制作に励んでいます。

貴重な経験の積み重ねがあるからこそ、一人の作り手としての今があると、改めて嚙みしめる日々です。そして、あの時の経験と喜びが無ければ、今こうして焼き物作りを生業としていなかったかもしれません。

活動を通じて感じる明星の繋がり

各地の百貨店で個展開催の機会を頂戴しながら活動していると、嬉しい出会いが幾つも起こります。その一つは、開催先での出会いを通じて卒業生の活躍を耳にすることです。造形芸術学科の陶芸専攻以外にも、絵画や立体造形専攻等の卒業生の活躍や頑張りを見たり聞いたりすることで、とても良い刺激を受けています。

また、個展では、略歴紹介の中に「明星大学造形芸術学科卒業」と記載されるので、「あら、私も明星卒業なのよ!!」とお声掛けいただくことがよくあります。それがきっかけとなり、展示会ごとに足を運んでいただいたり、深いお付き合いをさせていただくようになったりと、うれしい御縁をいただいたと感じる瞬間です。

札幌三越にて

自分が受け継いだことを次世代にも伝えたい

在学中も卒業後も、先生方や先輩方、そして、たくさんの方との御縁をいただいて今日の活動があります。定年が無く40代や50代でも「若手」や「ヒヨっ子」と言われる陶芸界では、まだまだ微力で若輩者ですが、私自身が諸先輩方からいただいた御恩を、後世に引き継いでいく伝承活動も大切な役割だと考えています。

例えば、「将来、陶芸家になりたい」と慕ってくれる地元の後輩への個展開催先の紹介や、子供達に美術工芸の魅力を伝えることなど様々です。

今年(2021年)に入り、私の活動に興味を持ってくださった地元の国立大学の附属小学校から、6年生を対象に1年間「陶芸に纏わる物作り授業」のご依頼をいただきました。その目的は、技術面を重視するのではなく、物作りを通じて子供達に様々なことを学び・感じてもらうことです。

在学中に教育関係の授業を履修していない私にとって身に余る大役!頭の中が真っ白になりました。ご存知の通り美術工芸の世界は数学や歴史等とは違い、これが正解というものがありません。ですが、私の指導力不足で、美術工芸の魅力が子供達に伝わらなかったらどうしようかといった不安は大きく、正直悩みました。

授業の一コマ。子供たちの真剣なまなざしに圧倒されることも

そこで、新潟県支部の集まりで一度だけ御目に掛かり名刺交換をさせていただいた、現同窓会長の青木秀雄先生が教育学で教鞭を執られていたことを思い出し、早速名刺を探し相談することに。青木先生は快く相談に乗ってくださり、教育に関する知識が足りない私に丁寧にアドバイスをくださいました。先生のお人柄はもちろんのこと、大学の同窓生ということも大きな要素であったと思います。

先生から様々な注意点・意識すべき点をご教示いただいたお蔭で、子供達への授業も順調に進み、自分自身も良い経験をさせていただいています。ここでも、明星の繋がりに大いに助けられ、感謝しきれないほどです。先生や先輩方、そして現地の方々には感謝の気持ちで一杯です。

そして、故高橋先生が大切にされていた邂逅と御縁を大切に楽しみながら、今後も一歩ずつ精進していきたいと思います。全国で開催する個展や展示・展覧会等で後輩はもちろん、諸先輩方とお会いできることを心より楽しみにしています。お立ち寄りの際はぜひお声がけください。

 

2005年卒
日本文化学部造形芸術学科陶芸専攻
越後焼 妙高赤倉窯
栗山 像心
越後焼 妙高赤倉窯
http://www.yplan.jp

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