ブレイクダンスのダンサーを目指していたが、結果的に税理士になった
1.将来の目標はダンサー!
入学した理由は “なんとなく”で “つぶしの利きそうな”経済学部を選んだ
高校時代はダンス部で活動する傍ら、ヒップホップダンスでは世界一とされる日本人ダンサーの教室で練習をしていました。また、ダンスの発表(ショーケース)やダンスバトルのイベントに参加するなど、ダンスに関する様々な活動をしていました。そこで出会ったメンバーでダンスチームを結成し活動していたのですが、そのメンバーの一人が明星大学の在学生だったというのが入学の大きな動機です。ちなみに、そのダンスチームのメンバーの一人が2020東京オリンピックの閉会式でダンサーとして出演していたのは、ちょっとした自慢です。また、祖父母の実家が明星大学に近く、多摩動物公園駅にある明星大学の看板をよく目にしていたため、親しみがありました。
と、もっともらしく入学理由を並べましたが、本当は大した理由は無く“なんとなく”入学したというのが正直なところ。あくまで目標がダンサーだったため、もし失敗したときに“何かつぶしが利くだろう”といった程度の気持ちで経済学部を選択しました。
2.目標をダンサーから税理士へ変更した
ダンサーを目指していましたが、母が病気になったことをきっかけに、将来どのようにお金を稼ぎどのように生きていくのか真剣に考えました。自分が得意な分野で情熱を注げることができ、且つ人の幸せに貢献できることは何かを考えました。
その時は、何故か政治家になるという結論になりました。そこから、YouTubeで国会中継を視聴し、政治家の発言を書籍やラジオ等々でチェックするようになりました。その中で、このような政治家になりたいと憧れた政治家が「税理士」だったのです。その方は税理士事務所で勤務をした後に独立開業をし、その後に政治家になったという経歴でした。他にも、政治家の政策秘書に税理士が選考採用審査認定を受けることができること(政策担当秘書制度)や、地方公共団体の監査委員や外部監査人、登録政治資金監査人などとして活躍している税理士がいることから、税理士は政治と関わることができる資格であることが分かり「よし、これだ」と税理士の勉強を始めました。また、税理士であれば、選挙に当選しなかった場合でも、専門家として仕事がすぐにできることも魅力の一つでした。
他方で、政治家を意識しない場合でも、税理士として働くことについては魅力がたくさんあります。サラリーマン税理士(税理士法人に勤務するいわゆる勤務税理士)になった場合でも、「いつでも独立開業できる」という心の余裕を持った状態で働けます。また、開業すれば定年が無いためずっと働き続けることができます。
そんな思いから税理士試験を始めることとなりますが、勉強を全くしていなかった大学1年生の時に履修した簿記3級の学内講座は、当時2回受験して2回とも不合格でした。しかし、税理士を目指すと決めてから、大学2年生の時に改めて履修したところ、明確な目標があるため勉強時間が格段に増え、簿記試験の3級と2級に一発合格することができました。
そのままの勢いで専門学校の税理士講座の申し込みをしましたが、申し込みに際しては家族の様々な協力があり、快諾してくれた両親にはとても感謝しています。一方で、大学の成績(GPA)も2年後期から上がり、そこからは種々の学費については大学から頂いた給付の奨学金などを充てました。
3.失うものもあったが…
合格するためには、今までの倍以上の勉強時間を確保しなければなりませんでした。そのためには、ダンスをすること、友達と遊ぶこと、家でゴロゴロすることなど今までの生活を見直す必要がありました。器用な性格ではなかったため、勉強とプライベートの充実を両立することは難しいと考え、ダンスをすることや友達と遊ぶことを極端に減らすことにしました。なお、(勉強以外の要素もありますが…)高校1年生から大学4年生まで7年間の交際相手とお別れをしたものこの時期でした。
決意はしたものの、人との関わりが極端に減り、会計や税法と向き合うこの生活をいつまで続ければいいのか、また、この生活で本当に自分の目的が達成できるのか不安でした。そもそもこの人生の選択は正しいのか、生きるとはなんなのか、様々なことに悩みました。過去に自分が発信したブログやTwitter、Facebookなどを見返してみると当時はかなり悩んでいたことが分かります。いま思えば、小さな悩みですが、その時はとても苦しかったのです。ただ、苦しかったからこそ自分と向き合う良い経験を得、心が鍛えられたのだと思います。
幸い、私の感覚として明星大学は先生や職員の方と学生との距離が近く、学術的な議論から身の上話まで、幅広くそして親身にお付き合いをしていただけました。不安から逃げだそうとフラフラしていた時には叱っていただき、精神的に支えていただきました。また、在学中に同窓生税理士とお話しする機会を設けていただくなど、様々な面でご支援を賜りました。社会人となったいま改めて振り返ると、苦しかった半面、本当に恵まれた環境で大学時代を過ごすことができたと大変感謝しています。
4.明星大学大学院へ進学。在学中に税理士試験に合格した
大学1年生の時は勉強せずダンスに明け暮れていたため、上述の通り簿記3級の2回の不合格を筆頭に、落とした単位は二桁ととんでもなく勉強しない学生でした。そのため人より勉強が遅れていると実感し、大学院に進学してもっと勉強したいと思いました。また、大学院に進学すれば税理士試験の一部が免除されるという制度があり、これも進学した理由の一つです。
税理士試験は11科目の試験の中から5科目を選択し合格(一部必修科目などの縛りあり)することで税理士試験に合格した、ということになります。しかし、試験以外にも税理士の資格取得方法がいくつかあります。その一つに「大学院で論文を執筆し、その論文について国税審査会から認定を受けることで試験科目が一部免除される」という制度があります。税理士試験の免除制度の趣旨は、「税理士法第1条に定める税理士の使命の実現のために、その税理士業務を適切に行い得る能力(試験合格者と同等の学識及びその応用能力)を十分に有していると認められる者について、試験科目の分野ごとに試験を免除する」というものです。
私は、執筆した論文が「税法に属する科目等に関するものである」との認定を国税審議会から得ることができ、税法に属する試験科目が一部免除となりました。
なお、税理士試験について、私の戦歴は下記の通りです。
(専門学校での学習のみの未受験科目を含みます)
・大学1年 簿記3級×
・大学2年 簿記3級〇、2級〇
・大学3年 簿記論〇、財務諸表論〇
・大学4年 法人税法×、消費税法×
・大学院1年 法人税法×、相続税法×
・大学院2年 消費税法×、相続税法〇
・大学院修了前 所得税法×
税理士試験3科目(簿記論、財務諸表論、相続税法)合格し、大学院修了・論文審査の認定を受けたことで、在学中に税理士試験は完了。その後、実務経験期間の2年を経過して税理士の登録をしました。
大学4年生からの数回の試験には苦しみましたが、こうした勉強を通じて物事を論理的に考えることができるようになったと感じています。
5.さいごに
明星大学のおかげで今の楽しい生活があると心の底から思っています。そのため、何らかの形で明星大学の発展に貢献したいと考え、(一社)明星会職域支部「税務・会計研究会」を立ち上げました。税務・会計業界のみならず、金融業界や他業界で税務・会計に興味がある方などにご参加いただければ幸いです。
「税務・会計研究会」は同窓生の親睦を図り、また同窓生の社会的地位の向上を図るとともに、明星大学の発展に寄与することを目的とする団体で、その目的を達成するため、主に次の事業を行うこととしています。
(1) 税・会計に関心のある同窓生・在学生の親睦を図るに必要な活動
(2) 在学生の進路支援に必要な活動
(3) 勉強会、セミナー、研究発表会及び共同執筆等の学術振興活動
(4) その他、本会の目的達成に必要な活動
今後、勉強会や質問会なども開催できればと考えておりますので、その際は何らかの形で皆様にお伝え致します。興味のある方はぜひご参加ください。
■明星大学経済学部のインタビュー動画が下記明星大学公式YouTubeチャンネルに載っていますので、ぜひご覧ください。
明星大学 公式YouTube チャンネル
■現在の勤め先である税理士法人山田&パートナーズの採用サイトでもインタビューページがありますので、よろしければご覧ください。
税理士法人山田&パートナーズ 採用サイト
https://recruit.yamada-partners.gr.jp/voice/nishiuchi/
西内 森吾(にしうち しんご)
大学卒業年 : 2017年(50期)経済学部経済学科 卒業
大学院修了 : 2019年 経済学研究科・応用経済学専攻 卒業
星友祭にて
学生時代(中央が西内さん)
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