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“3つの老い”を抱えても「ありがとう」が心の支えです

1988年理工学部土木工学科卒の小佐野台です。1965年に東京都町田市で生まれ、1968年に日野市程久保に引っ越してきました。幼少期ということもあり記憶はほとんどありませんが、26歳で結婚するまでの約20年間、明星大学を頂点とするこの武蔵野団地で過ごしました。

高校までは公立に通っていた為、直接大学との接点はありませんでしたが、子供の頃の遊び場は大学内の運動場。学園祭ともなればブラスバンドの音が町内に響き、何かもらえるのか?と友人と遊びに行ったのを思い出します。今回は昔の大学の様子と現在の仕事についてお話しをしたいと思います。

雪が降ると行くまで大変だった通学路!
明星大学までの通学路といえば急な上り坂ではないでしょうか。高校まで旧本館入り口へは坂道を利用していましたので、世の中こんなものだと思っていたのですが、諸先輩は多摩動物公園駅の、あの坂を毎日上り下りされていたことを考えますと、4年間大変な毎日だったと思います。

特に雪が降った翌日は道路に張られたロープをたどって登った方もいらっしゃるのではないでしょうか。今では考えられませんが、車がチェーンを付けても登れず、どこに住んでいる人なのだろうかと子供心に心配になるほどでした。

大学受験の頃は1980年代半ばでバブル期の少し前です。入学のきっかけは、大手建設会社のCMで“地図に残る仕事をする”というフレーズでした。とても感銘を受け、関連する学びができる理工学部土木工学科を受験。入学後は小さな夢をもって大学に通いました。

土木は実験と実習の毎日。1年生とはいえ研究室に入り先輩にいろいろなことを教えてもらいました。研究室では、コンクリートの実験や水の流れを研究する水理実験等が行われていました。何度か徹夜をしましたが、徹夜明けは朝食を摂りに友人とともに私の自宅に戻り、少し仮眠してまた登校したことが今となってはとても懐かしい思い出です。

4年生の卒業論文では、橋梁工学を専攻し(高野教授)、実習実験で福島いわき校(旧?)の敷地をお借りして実際に橋をつくり、車を走らせ、荷重測定やひずみ測定の合宿を行いました。数台の車に分かれ、半分ドライブ気分で行きましたが、実験は過酷で”地図に残る仕事”はとても難しいことだとこの時実感したのは言うまでもありません。

父が創業した会社へ入社
26歳で父が創業した日本ハウズイングに入社しますが、この時点で社長になるとは全く考えていませんでした。仕事は土木ではなく、建物の建築や開発事業等でインフラの土木とは違い、地図に残るのかは正直わかりませんでしたが、せめて写真には残るだろうとの思いで働きました。

2005年のことです。皆様のご指導のおかげもあって、40歳で社長に就任することになりました。右も左もわからない全くの若輩者が、走り回る中、ある日大学から電話がかかってきます。

「明星大学の入学式で話しをして欲しい」

突然のことで驚きましたが、人前で話すことが大の苦手ということもあり、一度はお断りをしました。それでも「何とかお願いします」とのことでしたので、お受けすることに。スピーチの場所は校内の講堂会館だと思っていたら、東京国際フォーラムだというではありませんか。参加人数は覚えていませんが、とても大きな会場だったと記憶しています。

テーマは私の信条としています “夢を思い、夢を実現できる会社にしたい”という内容です。夢は今なのか、遠い将来なのかはわかりませんが、思い続ければ必ず叶えられるという内容を僭越ながらお話をさせていただきました。

日本ハウズイング社について
ところで、日本ハウズイングという会社をご存じですか?分譲マンションを中心に建物全般の管理を行う会社です。少し具体的に言いますと、建物を維持管理する上で、日頃から各種設備の点検作業や清掃作業、また細かい修繕から足場を組む大規模修繕までを行っています。

国土交通省の統計によりますと、日本国内の分譲マンションは、約10万棟/670万戸あると言われており、人口にして約1,500万人が居住していますが、マンション管理業界では、“3つの老い”という問題を抱えているのです。

1つ目は「居住者の高齢化」。
これは言うまでもなく高齢化社会はマンションも一緒です。高齢者が増えることでの認知症の方との共生、理事会役員のなり手不足に伴う組合運営の停滞などが懸念されています。

2つ目は「建物の経年劣化」の問題。
築30年以上のマンションは約200万戸を超えており、その内、1981年以前に建てられた築40年以上の旧耐震の建物は約100万戸あります。旧耐震の建物が危ないと言っている訳ではなく、地震大国の日本では耐震診断/耐震補強が大きな課題となっており、耐震補強には多額の費用がかかります。昨今はマンションも終の棲家と言われている中、50年・60年と住み続けていく為には、修繕費用をどう確保するかが課題となります。


※画像はイメージです

3つ目は管理会社の問題で、「管理員さんの高齢化」です。
私共の管理員さんは会社を定年して第二の職場として働く方が多いのです。現在、企業が定年を延ばしている中、管理員さんのなり手不足で管理会社から管理を辞退したいというマンションも出ているのです。

居住者の皆さんの安全・安心を一緒に守っていく為には様々な課題があり、今後より一層管理会社の役割や社会的な認知度UPが必要であると思いますが、マンション管理という仕事は居住者の皆さんの笑顔を見ながら、また「ありがとう」という感謝の言葉をいただきながらできる素晴らしい仕事です。

存続のカギはSDGsが意識できるかどうか
最後に、昨今のESG・SDGsの話題として、脱炭素/ゼロ熱/再生エネルギー等がでておりますが、住宅業界の役割はとても重要であると考えています。皆様もマンションや戸建て等、どこかで生活をされていると思いますが、自分の生活に直結している課題だと思って少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。

皆様の益々のご健康とご活躍をご祈念申し上げます。

1988年
理工学部土木工学科卒業
小佐野 台
日本ハウズイング
https://www.housing.co.jp/

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