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「国土強靭化」と「ナラ枯れ防止プロジェクト」に挑む

須﨑保(5期・土木工)さんはインフラ調査・設計会社の(株)セリオスの代表取締役会長であると同時に、ボランティアで「ナラ枯れ防除」を十数年続け、町田市内の旧白洲邸(武相荘)でも実績をあげておられます。また、日本百名山百座登頂、熊野古道全コース踏破、四国88箇所巡礼など6箇所で結願もされました。

なお、須﨑さんは(一社)明星会関西支部支部長を務めておられます。今回は、電子メールと対面インタビューの両方を使用いたしました。対面インタビューには、本会関西支部副支部長の茂木和憲さんも同席されました。

セリオス東日本支社・西東京支店にてインタビュー中の、右須﨑氏、左茂木氏

 

<現在のお仕事>

― 須﨑保(すざきたもつ 5期・土木工)さんをご紹介いたします。はじめに現在のお仕事についてお話しください。

須﨑 創業27年を迎えるインフラ調査・設計会社の株式会社セリオスの代表取締役会長をしております。

― 社名の由来については。

須﨑 セリオス(Serious:シリアス)とは、「真面目な」「重大な」「真剣な」という意味を持った単語です。この社名には、私たちの根本にある信念そのものが込められています。弊社の Web サイトのTOPMOST に詳しく示しております。

― 業務内容については。

須﨑 業務は、一言で言うと、微力ですが「国土強靭(きょうじん)化」に貢献ということです。具体的には、建設(土木・建築)事業の調査計画設計・許認可取得、下水道・道路・河川・トンネル等土木設計全般、都市計画・市街地再開発に関する計画・立案並びに設計等です。

取引先は、官公庁の仕事約7割、JR東日本とJR西日本関連企業の仕事約2割、民間約1 割です。本社は大阪にあり、社員数は120人(アルバイト・パート含む)で売上高は14億3600万円です。支店が広島、名古屋、神戸および東京(渋谷)にあります。

2023(令和5)年の7月、日野市程久保に新しいオフィス(東日本支社・西東京支店)ができました。

東日本支社前にて 左須﨑氏、右茂木氏

会社には現在、明星大学同窓生が私以外に、執行役員特命技術部長の茂木和憲(2期・土木工)はじめ、原田喜文(2期・土木工)、奥村拓司(5期・土木工)、久松航太(56期・総合理工 建築)の4人が在籍しています。また明星大学のインターンシップ学生(現在4人)を受け入れています。

他にも秋山哲男 中央大学大学院機構教授(5期・土木工、元都立大学教授)は同期で親交を深めています。秋山研究室には客員研究員を当社から2人出しています。

このたび、本社も自宅もある大阪で(一社)明星会の関西支部を創設しました。

<(一社)明星会関西支部>

― 須﨑さんは、2023年5月に設立された、本会関西支部の支部長を務めておられます。支部設立の経緯をうかがいます。まずきっかけについて。

須﨑 サラリーマン時代は、多忙で休みも少なく上京もならず、大学のことも顧みることができませんでした。独立後東京にも来る機会が多くなり、土木工学科の同窓会にも参加してOBと親交を深めました。

ただ、関西には明星大学出身の在住者が少なく、明星大学の知名度も低く、なかなか大きな声で明星大学出身とは言えませんでした。そこで私は東京の明星大学出身ですと堂々と自己紹介するようにしました。この頃から知名度UPには支部設立が必要と思うようになりました。

― 実際に設立の動きが本格化したのはいつ頃でしょうか。

須﨑 立ち上げた会社が軌道に乗り東京支店(渋谷区)も設立した頃、2014(平成26)年に、土木工学科第5期同窓会をパレスホテル立川で開催しました。また2018(平成30)年には、明星大学同窓会創設50周年記念式典・祝賀会(グランドプリンスホテル新高輪「飛天」)で、関西在住の藤原康雄氏 (旧姓 酒井、10期・土木工 現関西支部 副支部長) と会うことが出来、後にJR西日本勤務と分かりました。

 

関西支部第1回支部会(2023年6月17日、セリオス会長室)

左から三木眞弘、奥村拓司、須﨑保、泉谷久三、藤原康雄の各氏(バックの写真は西国・坂東・四国88・別格20・秩父34の巡礼結願掛塾の縮小版)

私が経営している会社もJR西日本系列から仕事を頂いていることもあり、親交が一層深まりました。藤原氏も支部設立を願っていた一人で、藤原氏の定年退職後の2019年に支部設立に動き出しました。

― 設立にあたって、会員を集めるのに苦労されたとうかがいました。

須﨑 藤原氏と私が呼びかけ人となり、他に3名、泉谷久三(2期・土木工)、奥村卓司(5期・土木工)、三木眞弘(46期・造形)はすぐ引き受けていただき発起人はそろいましたが、以降の会員勧誘に苦労しました。事務局からの名簿は、古すぎて電話は使われていない!もう住んでいない!など、対応に苦慮しました。手紙も30人ぐらいに出しましたが、連絡をもらったのは数人です。

<明星大学とのかかわり>

― 学生時代のことをうかがいたいと思います。お父様の代から明星大学とのかかわりがあったということですが、土木工学科入学はそのご縁でしょうか。

 

現在の明星大付近の航空写真

 

須﨑 父が明星大学を程久保地区の住民土地所有者として誘致しました。私も明星高校工業科(機械)に入学し、日曜日にアルバイトをしていた関係で明星大学土木工学科の学生と交流ができ、これからは機械より土木と考え推薦入試で土木工学科に入りました。

― 現在土木のお仕事しておられます。入学時の見込みが正しかったということですね。

須﨑 卒業研究では、土質実験の(故)森満雄先生、西川義矩助手にお世話になり、西川氏とは今も親交があります。10工種ぐらいの土質試験を実際に1年間経験して、建設現場ですぐに役に立ちました。

 

旧 土質実験室(リニューアルし新たな息吹が感じられる)

 

卒業後、株木建設株式会社に入社し北陸自動車道建設現場に配属になり、土質試験係に抜擢され盛り土材30万m3の土質試験と現場の締固め試験をやりました。そこで、日本道路公団の工事長が森先生の後輩で明星大学の事も良くご存じで、息子さんが明星中学校に通っていましたので親切にしていただきました。

森先生の他、川端猛(測量)・佐藤良一郎(数理統計学)・(故)廣瀬盛行(都市計画)の各先生のことはよく覚えています。なかでも、加藤正春先生の「牛尾鶏頭」(明星大学卒では大手での出世は難しい、牛のしっぽより鶏の頭になりなさい!中小でトップを目指しなさい)という言葉が印象に残っています。

― 卒業研究以外の思い出について。

1年生から仲間ができ、私は車で通学していましたのでドライブや野外活動を積極的に行って友達を増やしていきました。仲間がたくさんできて夏休みなどには友達の田舎にも遊びに行きました。

星友祭にも積極的に参加し1970(昭和45)年の体育祭で私が校旗を持ち行進して児玉九十学長に手渡したのは良い思い出です。とにかく4年間はアッという間に終わりました。

部活は合気道部で、大学4年生の10月まで続け二段を持っています。しかし、1971(昭和46)年10月、私が主将の時に後輩がしごき事件(注:過度に厳しく鍛錬、現在ではパワーハラスメント)を起こし廃部となりました。

この部活が私にとって社会人としての基礎となりましに。しごき事件を起こしましたが、部全員で加害者の後輩を助けるために学生3000人ぐらいの署名を集めました。また、示談費用を部員のアルバイト代から一部捻出して示談にして、全員退学は免れ、留年しましたが、全員卒業しました。

 

合気道部OB会(2016年5月16日明星大学日野キャンパス 左端が須﨑氏)

 

― 卒業後大学キャンパスにこられましたか。

須﨑 何回も訪れています。廃部になった合気道部の0B会も数年前に行いキャンパスを訪問しました。昨今は建築学部の教授を年4回ほど訪問しています。

キャンパスの緑保全は管理が行き届き素晴らしいですが、残念なのはナラ枯れ現象による枯死木が目立っています。「コナラ」の木が枯れています。私はボランティアでナラ枯れ防除を十数年やってきており、現在行っている町田市内の旧白洲邸(武相荘)でのナラ枯れ防除は3年目となり実績をあげています。

(参考文献、須崎保:多摩二ュータウンと多摩丘陵(七生丘陵)の「ナラ枯れ」現象,多摩ニュータウン研究,No.25, pp. 52-56,多摩ニュータウン学会発行(2023年5月21日)).

― 先に、須崎さんのお父様が明星大学を誘致されたということでしたが、現在の株式会社セリオス東日本支社はご実家の近くということになりますね。

かつて程久保にあった須﨑家

 

須﨑 明星大に通っていたころの実家はありません。1972(昭和47)年に父が、ある建設会社の連帯保証人になり全てを失いました。

先祖の初代須﨑左近は、1930(寛永7)年3月11日に没しており、没後約390年の歴史は程久保では古い方だと思います。私の祖父の兄須﨑和蔵は日野市立潤徳学校第7代校長です。程久保・高幡の須崎は皆分家です。

― そういえば、明星大学近隣では須﨑(須崎)姓の方々が多いですね。本学関連でも、亡くなられた元青梅校総務部長の(故)須崎祐吉教授、同窓生では現在日野市の市議会議員の須崎貴寛(54期 経営)さんがおられます。

― 最後に、日頃心掛けていること、また同窓生や後輩にお言葉をお願いいたします

須﨑 健康・真面目・努力(熱意)。明星高校時代の「凝念(ぎょうねん)教育」(*文末に注)は素晴らしいです。現代にこそ必要不可欠と考えます。精神統一して初めて熱意が生まれます。努力は他人から見ての事、本人は熱意です。我が社の標語(スローガン)の一つに「熱意がしあわせをつかむ」があります。

☆感謝:当たり前のことですが、忘れがちになります。私は、山を歩くことにより感謝の念を表し日本百名山百座登頂、熊野古道全コース(伊勢路・小辺路・中辺路・大辺路・紀州路・大峰奥駆・大雲取小雲取越え)完歩を達成しました。

また車でですが、西国33箇所・坂東33箇所・四国88箇所・四国別格20箇所・秩父34箇所・高野山・善光寺・北向き観音(別所)の巡礼は結願しました(第1回関西支部会の写真のバックにあるのは巡礼結願掛軸縮小版)。これは感謝の気持ちで巡礼しました。

☆同窓生へのメッセージ:明星大学の0Bとして誇りを持って堂々と名乗ってもらいたい!

☆後輩へのメッセージ:殻に閉じこもらず、大きく羽ばたいてスケールの大きな人間に成長してください。

 

*注 凝念:

凝念は、心の働きを一点に集めること、精神統一が目的です。姿勢正しく腰を掛け、両手は下腹部に合わせて目を閉じて、臍下丹田(せいかたんでん)に力を入れます。心を落ち着かせて精神を集中させることで、スムーズな切り替えができます。

授業時間や行事の始まりや終わりに行うことで集中力が高まり、心身の健康にも役立ちます。創立当初から大切にしてきた取り組みは、今も明星教育の大切な柱の1つです。

(明星学苑Web サイトhttps://www.meisei.ac.jp/mg/education/concept.html 教育方針2.凝念を通じて心の力を鍛える教育より)

 

2023年8月28日
ハイブリッドインタビュー(電子メール&対面)
須﨑保(すざきたもつ 5期・土木工学科)
株式会社セリオス 代表取締役会長
一般社団法人明星会 明星大学同窓会関西支部 支部長
KS山好会 会長

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