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プロマジシャンという仕事を選んで

こんにちは。1989年理工学部電気工学科を卒業した藤本明義と申します。私は現在、公益社団法人日本奇術協会正会員・認定師範のプロマジシャンとして、パーティー、イベント、飲食店をマジックで盛り上げる仕事をしています。今回は、私がマジックを始めたきっかけから、プロマジシャンとしての現在に至るまでをお話ししたいと思います。

今考えると、人生模索中だったと思える大学時代

名古屋の高校を一年留年し、卒業後も一年浪人。大学時代も卒業がかなり危うい状態でした。指導を受けた教授のご温情により何とか卒業できましたが、明星出身と口に出すことが申し訳ない程の学生でした。現在、マジックのトークでは明星大学卒業ということを公言していますが、学生時代はマジックとは全く無縁で、まさか自分が将来プロのマジシャンになるとは思ってもみませんでした。

人と話すことが苦手だったことがマジックを始めるきっかけになった

大学卒業後、コンピュータシステム会社に就職しました。3年間システムエンジニアとして働き、その間、第二種情報処理技術者試験にも合格したものの、4年目からはなんと営業担当に。

営業マンとして働いているにもかかわらず、実は人と話すことが苦手。そんな私が、スナックの女の子と仲良くなるためにはどうしたらよいか、と考えたことがマジックを始めたきっかけです。当時、ミスターマリックが流行っていたので、マジックを見せて「ハンドパワーです」とやったらウケるかもしれない、と思い、おもちゃ屋でマジック道具を買って、スナックの女の子の前でマジックをやってみたら、なんと大ウケ!

今考えると、相手は客商売ですから「すご~い!!」と褒めてくれるのは当たり前なのに、気をよくした私はその後もマジック道具を買いあさり、いろいろな人にマジックを見てもらうことに喜びを感じるようになりました。規模の大きな取引先の懇親の席に呼ばれ、マジックを披露し、一社員が簡単に会うことができないような重役の方々と名刺交換するという経験もしました。

こうして仕事の傍ら少しずつ腕を磨く中、マジックのコンベンションという、多くのプロマジシャン、マジック愛好家が参加するイベントに参加し、初めてマジックコンテストを観ました。あまりの迫力、そして不思議な世界に魅せられ、来年は自分もそのコンテストに出場するぞ!と目標を明確にした瞬間でした。

目標を立てた翌年のこと、満を持して人生で初のマジックコンテストに出場!ところが他の参加者はレベルがさらに上回っており、残念ながら結果は惨憺たるものでした。そして練習を重ねた1年後のこと、仙台で開催されたコンテストで念願の優勝を果たすことができたのです!その後も多くのコンテストに参加しプロのマジシャンにも勝つことができるようになり、自分の腕を信じることができるようになった38歳、プロマジシャンへ転向することしたのです。

プロのマジシャンとして、苦難を乗り越えて

「マジシャンをしています」と人に話すと、「本業は何ですか?」「良いご趣味ですね」などとよく言われるのですが、私はプロマジシャンであるという唯一の証明として、他の仕事を一切しないと心に決めています。以来20年間、マジシャンとしての収入だけで生活をしてきました。しかし、マジックの仕事は不安定で、翌月仕事があるかどうかもわかりません。そのため、常に営業活動を行う必要があります。

プロのマジシャンになってわかったことは、アマチュア時代にやっていたマジックは一般のお客様には全く通用せず、アマチュア時代のコンテストの実績など全く意味がないということ。自分は良いマジックだと思っても一般のお客様には全く喜んでもらえず、逆にくだらないと思っていたマジックに拍手喝采だったり・・・また、会場にはいろいろなお客様が来場していますから、私のマジックが気に入られず、ひどい扱いをされて落ち込んだこともたくさんあります。

でも一度プロマジシャンになると決めた以上は簡単にあきらめたくないと思い、必死に研鑽に励みました。次第にお客様に喜んでいただき、溢れる笑顔が見られるようになって、ようやく、この仕事をやってよかった、と思えるようになったからです。

私から後輩に伝えたいこと〜やりたいことをあきらめないで

私が若い方々に伝えたいことは、やりたいことを始めるのに早過ぎるということはない、ということです。あれこれ悩んで躊躇してチャンスを逃してしまうよりも、トライしてみて失敗することの方が人生にとって価値があるということです。やり直す時間はたくさんあります。あきらめなければ失敗にはなりません。

私は現在、ある経営者の会に参加しています。そこで学んだことは、まず他人に貢献すること、人が喜ぶことを自分が先にしてあげること、そして見返りを求めないということです。 ‘Givers gain’「与える者は与えられる」つまり、人を助けてあげればまわりまわって自分も助けられるということで、‘Give&take’ではないのです。私自身も困っている人を助けること、人に仕事を紹介してあげることによって自分が助けられたことがたくさんありました。

是非皆さんも ‘Givers gain’で人を助けてみてください。良いことがきっと起こるはずです。このコロナ禍でエンターテイメント業界も壊滅的な打撃を受けています。しかし、人々に笑顔をもたらすマジックは世の中に必要であるという信念のもと、今この時も、マジシャンとして研究・努力を重ねています。いつか、どこかで私のマジックを皆さんに観ていただけたら、嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします。

 

1989年卒
理工学部電気工学科
マジシャン
藤本明義
https://fujikku.com

公益社団法人日本奇術協会正会員・認定師範
アメリカハリウッドマジックキャッスルメンバーオーディション合格
国内外コンテスト多数出演・入賞回数日本一
テレビ出演、海外マジックコンベンションゲスト出演多数

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